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YouTubeで動画を30本投稿してわかった大切なこと

YouTubeでの活動は私に多くの授業改善の視点を与えてくれました。


YouTubeで動画を30本投稿し、ありがたいことに2,000人以上の方にご登録いただいている私の気づきは、YouTube初心者で登録者数や再生数がなかなか増えなくて悩んでいる方だけでなく、授業がうまくいかなくて悩んでいる先生方にとっても有益な情報だと思います。

最初に私のYouTube活動を簡単に振り返ってみると、2020年の6月27日にチャンネルを開設し、平均すると月に1、2回程度の投稿で、開設から5ヶ月、7本目を投稿した後100人登録を達成しました。

チャンネル開設から10ヵ月後、16本目の投稿の後に登録者数1000人を達成することができました。


2021年7月30日現在、開設から一年と1ヵ月で、この動画が31本目、7月下旬現在で2100人以上の方にご登録いただいています。


YouTubeの収益化条件である、チャンネル登録者1,000人、総再生時間4,000時間を達成したいのであれば、できるだけ毎日投稿を行い、100本を投稿しなければ始まらないというような情報をよく目にします。


扱っているジャンルや設定しているゴールによっても違うと思うのですが、実際に自分で動画を作成し発信を続けていると、この情報には疑問を感じます。


授業に置き換えてみるとわかるのですが、「どんなやり方でもいいからとにかく数をこなせ」と言われたら、違和感を感じますよね。


たしかに数をこなすことは自分の成長のために、ニーズの把握のためには有意義だと思いますが、授業準備も、YouTubeの動画作りも想像以上に大変な作業ですから、なるべく少ない回数で成果を得られるように努力するべきです。

実際、私のYouTubeチャンネルでは月に1、2本程度の投稿で、まだ30本しか投稿していませんが、16本目の投稿で1000人登録、21本目で総再生時間4000時間を達成しています。


このことからもわかるのは、毎日投稿、100本投稿よりも大切なことがあるということです。


30本の動画を投稿した今、私はYouTubeで多くの方に情報を届けるためにも、良質な授業を展開するためにも、そして、仕事や人生を楽しいものにするためにも、大切なことが大きく5つあると思っています。

 

1つ目は自分の強みを活かすことです。


自分自身がこれまで学んできたこと、経験したことや体験してきたこと、それが多ければ多いほど情報を発信したときの説得力が増します。


これまでの人生を振り返り、時間をかけてやってきた事は何なのかをしっかりと振り返ってみて、自分の強みや特技、好きなことなどを見つめ直すことから始めた方が良いと思います。


そしてその自分の強みや特技を掛け合わせることで、他の方にはないオリジナリティー、特別な「価値」を生み出すことができます。


私の場合の強みは、現役の教員であること、国語科の教員であること、教員として20年の経験があること、iPadなどのICT機器に興味を持ち、早い段階から授業に取り入れてきたこと、独学ではありますが動画編集の経験があったこと、だったのでこれらをかけ合わせて動画を作りました。


これなら価値を提供できると思うものが決まったら、その価値を届けたい相手は誰なのか、対象となる視聴者層を見極めます。


その上で価値を効果的に伝えられる方法を追究し、自分なりに理論と実践、仮説と実証を重ねていきます。


どのような情報を発信すれば、ご視聴いただいた方に価値を提供できるのかということを常に意識する必要があります。


これは授業においても同じことが言えるのですが、多くの方から再生回数やチャンネル登録者数といった評価を頂戴するためには、ニーズを敏感に感じ取り、自分がそれなりの価値を提供しなければいけません。


「価値の提供」という視点を持たずに、我武者羅に毎日投稿、100本投稿に挑んでも、多くの視聴者、登録者を得ることは難しいと思います。

実際、私のチャンネルでも自分の伝えたいことが明確で「こういう方にこういう価値を提供したい」と思って作った動画は再生回数が伸びますし、逆に、ニーズを読み間違えて情報を発信したり、誰に届けたいのかが曖昧な動画はあまり良い結果が得られていません。


まずは自分自身の強みを生かして、誰に対し、どのような伝え方をしていくのかを考えることが大事だと思います。


喋りが得意なのか、編集が得意なのか、それとも他の誰にも真似できない情報を持っているのか、YouTubeも授業も、自分の強みを整理して、今一度実践してみてください。

 

2つ目は伝えるためのこだわりを持つことです。


YouTubeでも授業でも、情報を伝えるための技術、もっというと、クオリティにこだわるということはとても大事なことだと思います。


以前のYouTubeであれば、動画を投稿している方の数が限られていたので、伝え方よりも内容が重視されていたと思います。


しかし、現在のようにチャンネルの数が膨大で、同じような内容についてたくさんの方が発信をしているような状況では、自分の動画に目を止めてもらうこと自体が難しく、サムネイルをクリックして動画を再生してもらったたときの第一印象やわかりやすさがとても重要だと思います。


発信している方がタレントさんだったりカリスマ性のある方であれば別なのですが、一般の方がほとんど編集をせずに多くの方を引きつけるのはかなり難しいと思います。


構成を考えたり、テロップを入れたり、効果音を加えたり、自分が伝えたい情報を強調したり、というように、動画を見てくれた方が「この動画はクオリティが高いな、視聴者にわかりやすく伝えようと工夫してくれているんだな」と短時間で感じるように工夫して動画を作ることが必要です。


私も時間のない中で撮影、編集をしていますが、撮影にかける時間の10倍くらいの時間を編集にあてています。


時間をかけて丁寧に編集した動画には、それなりの力が宿ると信じています。


私がICT授業をオススメするのも、先生方の工夫や思い、教材研究の努力が伝わりやすいからです。


また、動画づくりをする上で、授業での工夫が大きく役に立っている部分もあります。


教育の世界では「一時に一事」という言葉があります。


これは、物事をわかりやすく伝えるための工夫を表した言葉です。


例えば

「教科書とノートを出して教科書15ページのここの部分を写してそれをプリントにまとめ て提出してください」

これでは指示が多すぎます。


わかりやすく伝えるためには、

「はじめに教科書を出しましょう」

「次にノートを出しましょう」

「それでは教科書の15ページを開いてください」

というように、一つの指示や活動の中で、一つの事項のみを扱うこと。

これが「一時に一事」です。


この方法はYouTubeの中でも非常に重要だと思っています。


一つの動画に多くのことを詰め込みすぎず、テーマを絞ることが大切です。


私の動画でも、今日の動画のテーマはこれですとはっきりと宣言するようにしています。


特にハウツー系の動画は、作業の説明が多いので、一つ一つの指示や説明を明確にすることを心がけています。

わかりやすく伝えるために必要なことは、情報を受け取る側の視聴者目線で考えることです。


授業に置き換えれば、授業を受けている生徒の目線に立って授業を行うということです。


期待する結果を得られていない場合には、設定しているそのテーマが生徒の現状とあっているか、難易度は適切か、ニーズを満たしているか、発信者の独りよがりになっていないか、自分の伝え方が適切かをまず見直してみることをおすすめします。

 

3つ目は、丁寧に振り返ることです


YouTubeにはアナリティクスという分析機能があり、動画を投稿した後に

動画の視聴回数や高評価、低評価の数、登録者数、視聴維持率、おすすめに表示されたインプレッション数、サムネイルのクリック率など、自分の発信した情報に対する評価や反応を細かく分析できます。


授業とは違い、反応がリアルに数字となって現れます。


どのような動画が評価され、どのような動画が評価されないのか、ということが明確に数字で示されています。


自分の伝えたいことが正しく伝わっているか、多くの人に届けられているのか、丁寧に、冷静に分析することが重要です。


また自分の動画に様々なコメントが来るのですが、そのコメントを見て疑問を感じられている方が多い内容であれば、自分の伝えた方が充分ではなかったと気づくことができますし、「動画を参考にして自分も実践しています!」というコメントを見ると、自分が価値をしっかりと提供できたと感じることができます。


視聴者の方のコメントを分析していくことによって、今求められている事と自分が発信している情報とのズレに気づいていくことができます。


様々な仕事においてPDCAサイクルが重要だと言われますが、ことさらそれを強調しなくてもYouTubeで情報を発信し、アナリティクスを振り返っていれば、多くの視聴者に情報を届けるために、自然と評価から次の計画へとつながっていきます。

YouTubeのアナリティクスは、教員としてのスキルを高めるためにも本当に役立っています。


日々の授業がうまくいかない、動画投稿の成果が上がらないという方は、丁寧に振り返ってみると改善のヒントがすぐに見つかります。

 

4つ目は柔軟に変えていくことです。


私の好きな言葉に「学ぶことは変わること」という言葉があります。


つまり、現在の自分から変わらなければ、学んだとは言えないということだと思います


社会もYouTubeも学校現場も日々状況は変化しています。


時代が変化すれば、当然ですがYouTubeであれば視聴者、学校であれば生徒、そして社会であればお客様、人々の価値観はどんどん変わっていきます。

それにもかかわらず、発信する側が今までやってきたことに固執し、プライドを守り、変化することを恐れていては良い情報発信はできません。

価値ある情報を発信するということは、自分自身が変わり続けることを要求されるということでもあります。


私がこのチャンネルでICT授業を広めようとしていることに対しても、今まで黒板やチョークでずっとやってきた先生方からすると、

「なんでわざわざそんなものに変えなきゃいけないんだ」

「今まで私はうまくやっていたんだ」

「こういう実績があるんだ」

そういったプライドが邪魔をして時代の変化についていけなくなってきている、という現状も実際にあると思います。


これからの未来を見据えたとき、そのプライドが本当に必要なものなのか、冷静に判断してください。


人間は口で言うほど簡単には変われません。


私もそうです。


一人では変わらないし、変えられない。


だからこそ仲間を求めています。

新しい情報をどんどん吸収し、なんとか変わろうとチャレンジし続けています。


そしてそこで得た学びや発見をこうして発信し、変わることに共感していただける方を求めています。


長く仕事を続けてきていると謙虚になれなくなりますし、年齢を重ねれば自分自身がやってきたことへの自負心も湧いてきます。

ただ多様な価値観が生まれ、変化の激しい現代において「昨日までうまくいっていたことが今日うまくいくとは限らない」という場面は身近なところでたくさん目にします。


自分の心をいかに柔軟にいかに謙虚な状態に置いておけるか。


価値ある動画、価値ある授業を作り出すために必要なのは柔軟に変えていくことだと思い ます。

 

5つめは、自分の『好き』を大切にすることです。


「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、「好き」という気持ちは成長の最大の原動力になります。


YouTubeで動画を作り、発信してみると、1人の登録者を得るのがどれだけ大変なことかを実感します。


「登録者数1」を得るために、知恵を絞って絞ってネタを考え、膨大な時間をかけて動画を編集し、低評価やアンチコメントに深く傷つけられ、満身創痍になっている方がたくさんいると思います。


この大変な作業で最後まで自分を支えてくれるものは、自分が「好き」なことを人に知ってもらいたいという想いです。


特に私など、動画で収入を得るわけでもなく、大切なプライベートの時間を削って動画を作っているわけなので、「こんなやらなくてもいいようなことをなんでやっているんだ」と人からは思われるかもしれません。


それは結局、自分が伝えることや発信すること、自分が作った動画を見た人が喜んでくれること、これがとても好きだからなんですよね。


これが好きじゃなかったらもうとっくにやめていると思います。


動画をアップしても視聴回数が上がらなかったり低評価をつけられたり、コメントで批判されたりすると、その時は「自分の時間を削ってまで動画を作っているのに、貴重な情報を発信しているのに、発信すらしていない人になんで文句を言われなきゃいけないんだ!」

という気持ちになります。


でも冷静に考えれば、もともと自分が好きで始めたことですし、発信する以上、どんな人にも見られる可能性がありますし、情報を見た人が感想を言い、評価をしてくるのは当然なんですよね。


すべての人に理解してもらい、高く評価してもらえたらこんなに幸せなことはないのですが、何百万という登録者がいて素晴らしい動画を発信しているYouTuberの方でも、悪い評価をつけられることは当たり前のように起こっています。


良くも悪くも評価がつくということは、情報発信というチャレンジをしている人間であるということの証拠です。


どうしても悪い方に目がいってしまうものですが、自分の好きなことを発信できて、さらにそのチャンネルを登録してくださる方がいて、自分の作った動画を見て前向きな気持ちになってくれている方が一人でもいるなら、それは幸せなことなのではないでしょうか。

評価をもとに柔軟に変わる姿勢は必要ですが、他者の評価を気にしすぎたり評価を求めすぎて、自分の好きなことに嘘をついてやるというのは、結局、長続きしないと思います。


水面を優雅に泳ぐ白鳥を見て、「きれいだなぁ、美しいなぁ」と言っている私たちは、白鳥が水面下でどれだけ必死に足を搔いているかまでは想像しません。


どの仕事も華やかな部分しか人は見ていませんし、表に現れている数字しか見てもらえないという事実はあるので、裏側の努力を理解してもらおうとするよりは、「自分自身が好きなことを好きなようにやっていることを見てもらおう」という感覚で楽しんでいきましょう。


とにかく日々の授業で悩んでいる方、仕事で悩んでいる方は、できるだけ自分の「好き」を仕事の中に取り込んでみましょう。


「好き」なことをやっているとき、「好き」なことを話すとき、人は輝きます。


授業であれば、他に評価を得ている先生を見て、「いいなぁ」「なぜ自分はうまくいかないんだろう」と悩んでる方もいらっしゃると思うんですが、大切なことは誰かから評価されることではありません。


自分の「好き」なことを取り込み、先生が楽しそうに授業をしていれば、自然と魅力的な授業になり、生徒もついてきます。


YouTubeも同じです。


改善につながる評価を受け入れることは大切ですが、他者の評価は、あくまでも他者の価値観でしかありません。

自分が「好き」なこと、楽しめることに目を向けて、今の厳しい状況とか辛い状況も乗り越えていきましょう。


どうしてもマイナスの情報は私たちの心には留まりますけれども、実はそれ以上に自分がやっていることを応援してくれてる方、評価してくださっている方、前向きになって頑張ろうとしてくださっている方がいます。


あなたが発信をやめることによって、そういう方の明るい気持ちも失われる可能性だってあるのですから、情報発信しているあなたはとても尊いことをやっているのです。


自分の「好き」を大切に、発信者であることに自信を持って取り組んでいきましょう!

 

私がYouTubeで動画を30本投稿してわかった大切なこと、というテーマで5つのことをご紹介しました。

1つ目 自分の強みを活かす

2つ目 伝えるためのこだわりを持つ

3つ目 丁寧に振り返る

4つ目 柔軟に変えていく

5つ目 自分の「好き」を大切にする


投稿本数30本程度の私が偉そうなお話をさせていただきましたが、実際に動画を作り、情報発信しながら学んだ貴重な情報だと思いますので、ぜひ多くの方にシェアしていただけたらうれしいです。


YouTubeはホームビデオをネット上にアップしたもの、ではなく一人でテレビ番組を作って発信するといったほうが近いと思います。


自分が、プロデューサーであり、ディレクターであり、シナリオライターであり、アクターであり、アナウンサーであると言ってもいいくらい、本当に多くのスキルが求められる大変な作業です。


もともと教員という仕事も似たような部分はあるのですが、当然すべてを完璧にできるはずはありません。


逆に言うと改善できる余地がたくさんあるということでもあります。


あきらめずに自分のできるところから改善と挑戦を続けていきましょう!



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